WW2航空機の性能:WarbirdPerformanceBlog

第二次大戦中の日本軍航空機を中心に、その性能を探ります。

タグ:タイ王立空軍博物館

おまけ
 前回記事の最後に予告したとおり、今回の記事は「おまけ」として紹介したい場所がありましたのでご紹介します。
 それは、空軍博物館の向かいにある、タイ空軍航空公園です。位置関係は下の画像のような感じ。緑色の枠で囲った部分が公園です。ちなみに赤枠が空軍博物館です。
satelite_map_park

 この公園のすごいところは、実機を使ったオブジェがあるというところです。しかも、F-16もあります。
公園2
 オブジェ自体はこんな感じ。F-16のほかには、F-5が2機、そしてF-86の合計4機が空に向かっています。
公園1
 いいですね。格好いい!!

 ちなみに少し離れた場所にはF-86Lも地上展示されています。
F-86L_side_view

F-86L_nose

F-86L_tail

 僕も仲間に入れてほしかったなあ~。なんて思っているかもしれませんね。
公園3

 今回のおまけは以上です。博物館の向かいにあってすぐに行けますので、時間に余裕があればついでに訪問してみてはいかがでしょうか??

はじめに
 タイ王立空軍博物館シリーズも今回で最終回?になりそうです。第5回は、⑥ヘリ格納庫、⑦訓練格納庫、⑧売店・食堂の3か所を見ていきましょう。
 とはいっても、⑥のヘリ格納庫しか写真はありませんが笑

ヘリ格納庫
 ヘリコプターが展示されている格納庫は、下の画像では⑥の赤枠に位置しています。
satelite_map_6

 ここでは、本当にヘリしか展示されていません。私は正直あんまりヘリに興味がないため、知識不足が露呈してしまうかもしれませんが、早速見ていきましょう。

 格納庫内に足を踏み入れると、まずは米ベル社製の傑作多用途ヘリコプターUH-1「ヒューイ」がお出迎えしてくれます。
 おそらく何かのテーマがあっての展示なのだと思いますが、ちょっとわかりませんでした。
UH-1_a

 その裏にも別のUH-1が。こちらはグレーの迷彩仕様となっています。
UH-1_b

 3機目のヒューイはシコルスキーS-55/H-19と並んで展示されています。UH-1は2枚ローターで、そのローター音は心臓に響く独特のものを持っています。ほかのヘリの音は分かりませんが、UH-1だけは聞き分けられる自信があります。
H-19_and_UH-1

 せっかくなので、ベルで続けます。これはB-206「ジェットレンジャー」です。軍用、民間を問わずベストセラーとなったヘリコプターですね。
B-206

 これはベル47をベースに日本の川崎重工業が開発したKH-4です。
KH-4

 奥に見えるのが、その原型となったベル47。手前はヒラーH-23/UH-12「レイブン」です。
H13_and_UH-12

 ベル社シリーズは終了し、こちらはカマンH-43「ハスキー」です。4枚ローターに見えますが、実は2枚ローターがそれぞれ別方向に回転する、交差反転式ローターを採用しています。逆回転するためにトルクを打ち消すことができるので、テールローターが不要となるメリットがあります。が、間違いなく構造は複雑になることでしょう。
HH-43

 こちらはシコルスキーのS-58/H-34です。カバみたいな本機は、機首に星型エンジンを搭載している面白い構造になっています。
H-34

 これもS-58ですが、機首が全然違いますね。本機はS-58Tと言い、エンジンをターボシャフトエンジンに変更したタイプです。
S-58T

 これもシコルスキー社の製品です。S-51/R-5は2機が展示されています。
S-51_a

 救難用途で運用されていたものと思います。2機ありますが、脚の位置などが異なっています。
S-51_b

 以上でヘリ格納庫の紹介は終了です。あんまりヘリコプターの知識がなく、薄っぺらい解説になってしまいましたよね。申し訳ありません。

訓練格納庫
 画像では⑦にあたるこの格納庫ですが、実は私がこの博物館を訪れた際にここに入るのを忘れまして画像が1枚もありません。
satelite_map_7
 他の人の訪問記などを見ると訓練関係のシミュレーターなどが置いてあるとかいないとか。格納庫の入口にはVRがなんとかと書いてあったことは記憶しています。
 もし訪れたことのある方がいましたら、ぜひ情報提供をお願いいたします。

 また、この格納庫に隣接する青い屋根の格納庫にはそもそも入ることができませんでした。

売店・食堂
 下の画像の⑧にあたる建物には、売店と食堂が入っています。売店は航空博物館にありがちなお土産屋さんで、食堂は軽食程度のものや飲み物を購入することができます。私が行ったときには遠足の子供たちが休憩していました。
 この博物館はとっても広いので、一休みしたいときに訪れてみてはいかがでしょうか。
satelite_map_8

まとめ
 というわけで、全5回に分けてタイ王立空軍博物館シリーズをお届けしてきました。本当に広い博物館ですし、展示機の入れ替わりもしばしばあるようですので、タイ旅行の際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
 私自身、入念な下調べのうえ訪問したわけではありませんし、タイ空軍の知識もほとんどありませんので、もし内容に間違いがあった場合はお気軽にお知らせいただけますと幸いです。また、以前に訪問されたことのある方がいらっしゃいましたら補足情報などいただけると嬉しいです。
 これから行きたい!という方、知りたい情報があればぜひご質問ください。そのほか皆さんからのご感想もお待ちしています。

 最後に、実はもう一か所タイで紹介したい場所がありまして、それは「おまけ」として別記事で紹介したいなと思っています。そちらもどうぞお楽しみに!!

はじめに
 タイ王立空軍博物館の第4弾です。4回目の今回は、屋外の展示機を探索していきます。
ちなみにこの博物館には、北側の屋外展示機エリアと、南側の屋外展示機エリアの二つが存在しています。まずは北側から見ていきましょう。

北屋外展示
 それでは早速、北屋外展示を見ていきます。下の画像では、④の赤枠で囲った部分となります。なお、しつこいようですが、このエリア分けは私が勝手にしているものですのでご注意ください。
satelite_map_4

 まずはA-1攻撃機からです。ただし、タイ空軍は本機を運用していなかった気がするので、在タイ米軍か南ベトナム軍の所属機かなと思います。
A-1

 B-737もいますが、明らかにオリジナルではないと思われるエンジンをつけています。
B-737

 これはタイで開発された練習機「RTAF-5」です。推進式のプロペラを装備している珍しい機体ですが、2機が試作されたのみにとどまりました。
RTAF-5

 お次の飛行機は日本のYS-11、、、によく似ていますが、イギリスの「アブロ748」かと思われます。B737とA320よりも似てます。本当に似てます。
HS 748

 その後ろにも何機か飛行機が見えていますが、柵のずっと向こうにあって近づくことができずません。見学させるつもりはないのでしょうね。
others

 これはC-123「プロバイダー」輸送機です。ちなみに後部ハッチが開いており、中にも入れます。
C-123

 これはタイの国産機パリバトラのレプリカと思われます。この後も出てきます。何機か作ったんですねきっと。
Boripatra_a

 続いてイタリア、アエルマッキ社の練習機「SF-260」がここに。
SF.260

 セスナ社製の観測機、O-1/L-19「バードドッグ」は2機が展示されています。
O-1_a

O-1_b

 やや角度をつけた状態で展示されているのは「RTAF-6」練習機です。先のRTAF-5に続いて開発された最新の国産機で、25機の量産が予定されているらしいです。
RTAF-6

 これはF-86D「セイバードッグ」のバリエーションの一種「F-86L」です。
F-86L_outside

 これは既に見てきた攻撃機A-37の元ネタとなった練習機T-37「ツイート」です。
T-37

 この飛行機は、米ヘリオ社の多用途機「クーリエ」ですね。保存状態ははっきり言って悪いです。翼端には穴あいちゃってるし。
Courier

 あんまり見ない機体ですが、英パーシバル社の「プリンス」かと思われます。なんか戦前の爆撃機と飛行艇を合わせたみたいな見た目をしていますね。いちおう初飛行は1948年です。
Prince

 このかわいい練習機はデ・ハビランド・カナダ「DHC-1」です。思うのですが、タイって多種多様な練習機を導入しすぎじゃないでしょうか?一貫性がないというか。政治の香りがします。
DHC-1

 シャークマウスとターボプロップエンジンの映えるかっちょいいこの機体は、スイス、ピラタス社製のPC-6「ポーター」です。日本でも小松基地の博物館で南極隊が使用したものを見学することができますよ。
PC-6

 そんでもってT-33。
T-33

 C-47は水平姿勢で展示されています。この機体は正門脇に展示されていて訪問者をお出迎えする役割があるのだと思うのですが、私が行ったときは正門からは入ることができず、誰も通らないなか、ひとりポツンとたたずんでいました。
C-47
 北側の屋外展示機はこんな感じです。大型の機体や、タイ空軍の中でも位置づけのはっきりしない機体が展示されている印象でした。さて、続いては南側の機体を見ていくことにしましょう。


南屋外展示
 南屋外展示エリアは、下の画像の⑧にあたるエリアです。いちばん端に位置しているので、あれ?ここまで入っても大丈夫だよね?とちょっと心配になるエリアです。
satelite_map_5

 この機体は、自衛隊でも運用された練習機T-28「トロージャン」です。戦後の軍用レシプロ機、て感じがしますね~
T-28

 これは先ほどのF-86Lの先輩に改修元にあたるF-86F「セイバー」です。
F-86F

 そいでもってT-6「テキサン」です。これら3機種は自衛隊でも運用していたので、日本の航空博物館でも見学できますよ。なんと浜松に行けば全部見られます。
T-6

 レスキューと書いてあるこの機体はグラマンG-44「ウィジョン」です。水陸両用の飛行艇で、救難機として使用されていたのでしょう。
G-44

 二次大戦機好きなら興奮間違いなしなのが、このSB2C「ヘルダイバー」です。タイも本機を運用していたんですね。しかしながら、この展示機は羽布がボロボロで保存状態は良くありませんでした。できればファイアフライと一緒に補修してあげてほしいですね。
SB2C

 「フェアチャイルド24」は1930年代に開発された飛行機です。こういう思わぬ飛行機がいるのがこの博物館の特徴です。
Fairchild24

 でかくて全体の写真が上手く撮れなかったのですが、アエリタリア「G.222」かと思われます。
G.222

 このエリアの脇には、またもやパリバトラのレプリカが。
Boripatra_b

 そしてスクラップヤード。ファントレーナーやF-5の残骸がころがっています。
scrap_yard

 そして対空火器でしょうか。飛行機以外のものも展示されているのですが、私にはさっぱりです。写真には撮っていませんがレーダーも展示されていました。
guns

 以上、駆け足でしたが屋外の展示機を見てみました。雨ざらしなだけあって保存状態が良くないものが多かったですね。少しずつでも補修が進んでくれると良いなと思います。
 もし補足情報や小ネタなどありましたら是非コメントもお願いいたします!

 次回の記事で、タイ王立空軍博物館は終了の予定です。よろしければ次の記事もよろしくお願いします。

はじめに
 タイ王立空軍博物館の続きの続きです。第三回は、下の画像の赤枠で囲った部分、ここでは暫定的にアーケード部分と名付けたエリアを探索してみますよ。
※なお、何度も申し上げますがこの分類は私が勝手にしているものです。ご注意ください。
satelite_map_3

アーケード探索
 ここでは、雨ざらしにしておくには忍びないが、屋内に展示するほどでもないと判断された飛行機たちが置いてあるような印象です。
 下の画像から、アーケード全体の雰囲気を感じてもらえるかと思います。それでは、ここに展示されているすべての機体を見ていきましょう!
overview

 手始めに、東側に展示されている機体から見ていきます。上の画像では左側に位置する機体たちですね。

 まず一番手前にいるのは、ピラタス社製の練習機「PC-9」です。タイ空軍はスイス製の本機を1991年から計20機導入しています。
PC-9

 続いて、ドイツRFB製の練習機「ファントレーナー」です。ダクテッドファン方式を採用しているたいへん珍しい飛行機ですが、このタイプの機体がほとんど見られないことから、既存機を置き換えるほどのメリットはなかったようです。タイ空軍でも1987年から95年までの8年間しか運用していませんでした。
FT-600_a
ちなみに2機が展示されており、それぞれカラーリングが異なります。
FT-600_b

 次も練習機ですが、これはニュージーランドのAESL社が開発したCT-4「エアトレーナー」です。ニュージーランドにそんな会社があったんですね。ちなみに現在は経営統合の結果、「パシフィックエアロスペース」という会社名になっているそうです。
CT-4A_a

 次もまた練習機です。これはセスナ172の軍用型、T-41ですね。
T-41_a

 で、その隣には再度CT-4です。
CT-4A_b


 練習機ゾーンはいったん抜けて、COIN機OV-10「ブロンコ」です。本機は反共作戦や国境紛争に投入されたとのこと。なお、今でもタイ南部では民族紛争が続いており「微笑みの国」の違った一面を見ることができます。
OV-10C
 余談ですが、私はハンバーグ店だとブロンコビリーが好きです。(あんまり言うと出身地がばれそうですが笑)

 その隣は、世界中の博物館にいる傑作練習機T-6「テキサン」です。
T-6

 そしてその隣には英スーパーマリン「スピットファイアMk.14」が。本機は偵察タイプのFR Mk.14Eです。マーリンエンジンよりも大きなグリフォンエンジンを搭載しているので、排気管の上部が盛り上がっているのが見て取れるかと思います。よろしければ過去記事「シルバー・スピットファイアを見に行ってきた!」と比較してみてください。
Spitfire Mk.14

 その脇には、同じくイギリス出身のフェアリー「ファイアフライ」が。しかし、残念なことにプロペラの一枚が破損しており、保存状態は決して良いとは言えません。なかなかここまで予算が回ってこないのでしょうか。
 日本やアメリカとは異なって性能的にぱっとしない、いかにもイギリスの艦上機という感じがして私はファイアフライとかフルマーとか好きですよ。
Firefly

 イギリスゾーンが続きます。お次は、ずっと本物を見てみたいと思っていた機体「ハリアー」です。本機は世界初の実用VTOL機で、タイ海軍も本機を導入し軽空母「チャクリ・ナルエベト」上で運用していました。
Harrier

 イギリスゾーンはこれにて終了。次は米LTV社製の艦上攻撃機「コルセアII」です。こちらもタイ海軍が運用していました。空軍博物館ですが、海軍所属機もまとめて展示してくれて助かります。
A-7
 さあこれで突き当りまで来ました。続いて折り返し西側の機体を見ていきましょう。

 これはおそらくT-33「シューティングスター」と思われますが、迷彩塗装だけで特にその他の情報はありませんでした。
T-33

 これはセスナA-37「ドラゴンフライ」です。もとは初等練習機だったものを攻撃機に改修した飛行機で、その名残で並列複座式となっていることが特徴です。
A-37_b

 なぞのモニュメント。たぶんC-47の尾翼部分と思われますが、タイ語に不案内なためなんと書いてあるかはさっぱりです。
probably_C-47

 そのお隣にはなんとびっくり、MiG-21がF-5と並んでいるではありませんか。なぜタイにミグが?と思いましたが、特に説明は見つけられず。
 両機は冷戦中にそれぞれ東西陣営に広く用いられた戦闘機で、まさにライバルと言って良い存在でしょう。しかしながら、隣り合った両機を見てもらえばその設計思想が大きく異なっていることに気づいてもらえることと思います。
F-5_and_Mig-21

 そしてその隣には再びのF-5E。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもF-5は出ずっぱりです笑
F-5E

 そしてその隣には再びのA-37。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもA-37は出ずっぱりです笑
A-37_a

 あれ?君もさっき見たよね?そうです、T-41はこちら側にも居ます。
T-41_b

 これ見てください!東側の超有名ジェット練習機L-39「アルバトロス」ですよ!本機がいるとは知らなかったので、見つけたときは大興奮でした。どうやら完全に退役したのは2021年とのことで、展示されたのはここ1、2年のことなのでしょうか。
L-39

 しかも、もっとびっくりしたのは「アルファジェット」がいるじゃん!ということ。タイ空軍現役バリバリの機体だった気がするのですが、なぜこんなところにいるのでしょうか?もしかしたら99式高練を見たとき以上に興奮していたかもしれません。
Alpha Jet
 東西両陣営の傑作ジェット高等練習機を見ることができ、思わぬ収穫でした。当然T-4は見たことあるので、次の目標は「ホーク」です!!


 さて、簡単ですがアーケードエリアの機体紹介は以上です。ネット上の情報には古いものもあるので、この博物館の展示機は訪れるたびに変化があって面白いかもしれませんね。

 次回の記事では、屋外の展示機を見ていこうと思います。まだまだタイ王立空軍博物館シリーズは続きそうですので、どうぞお付き合いください。

はじめに
 タイ王立空軍博物館の続きです。第二回は、別展示館を探索してみますよ。下の地図では②にあたる建物です。
※なお、この分類は私が勝手にしているものですからご注意ください。
satelite_map_2

 メイン展示館とは屋根で繋がっており、雨に濡れずに行き来することができます。室内は、下の画像のような感じです。写真に撮ってはいませんが、この他に制服や勲章などを展示している部屋もありましたよ。
 それでは早速、どんな飛行機がいるのか見てみましょう!
museum

展示機紹介
 こちらはイギリス、デハビランド社の傑作練習機「タイガーモス」です。王立タイ海軍は1950年に30機を初等練習機として導入したのだそうです。
DH-82A

 これはフランス、ブレゲー社のブレゲー14の3/4サイズのレプリカです。1919年に導入されたとのことで、タイ空軍の歴史の古さが感じられます。
Breguet 14

 お次のこちらはレプリカではなく実機です。この米ボーイング社製のボーイング・モデル100Eは米陸軍P-12Eの輸出型です。複葉戦闘機で、もとは艦上戦闘機F4Bとして開発された機体です。
 タイ空軍は1931年に本機を2機輸入し、英ブルドッグや独HD43との比較評価を行ったとのことです。なお、この機体はタイに現存する最も古い飛行機だそう。
Boeing 100E

 これは米パイパーの名機「カブ」の軍用型、L-4Jです。
L-4J

 そんでもってこちらは米スティンソン社のL-5「センチネル」ですね。
L-5

 そしてそして、今回の記事の目玉機体のひとつ、米カーチス社の戦闘機H-75「ホーク」、、、の輸出用の固定脚タイプ「H-75N」です!
 本機は本国よりも輸出先での活躍の方が有名ですよね。フランス、フィンランド、中国などなど。
H-75N

 せっかくなので、少し近くで見てみましょう。機首部分はこんな感じです。プロペラはカーチス社製の電気式定回転プロペラのはずです。
H-75N_nose

 本来であれば引き込み脚機構を備えた機体なのですが、中国やタイへの輸出モデルは固定脚を装備していました。脚は一応カバーで整形はされているようです。
H-75N_gear

 武装は機首に2門の機銃があるはずなのですが、なんか機銃口が塞がれているような?そのほかタイプによっては翼内にも機銃が装備されているようなのですが、本機は翼下にガンパックが装備されています。が、ちょっと詳細不明です。

 足のカバーも機銃カバーもなんか結構適当ですね。輸出型だからなのか、タイに来て取り付けられたのかは分かりませんが。もしなにかご存じでしたら教えてください。
H-75N_gun

 翼下には爆弾も取り付けられていました。重武装、固定脚で爆装もできるので、結構使い勝手は良さそうな飛行機ですね。
H-75N_bomb

 タイ空軍は1937年に12機のホークを購入。仏印紛争でフランスを相手にし、日本のタイ進駐では日本軍に抵抗し、二次大戦では日本と共に連合国軍と戦いました。まさに歴戦の勇士といったところでしょうか。
H-75N_side
名残惜しいですが、ホークはここまでにして先に進みます。

 ここにはなぜか一機だけ、ジェット戦闘機も展示されていました。いっぱい余っているのか、ここにもF-5Eです。ただし本機は後期生産型の「タイガーシャーク」です。
IMG_8838

 正面から見ると、こんな感じです。なんだかステルス機っぽく見えますね。
F-5E_nose

 ところで隣にあるこれはなんですかね??はじめて見ました。
what_is_this

 まあそれは置いておいて、ついに前回の記事で予告していた日本製航空機に移りましょう。日本にも残っていない、99式高等練習機です!

 本機は98式直接協同機の練習機バージョンで、立川飛行機の開発、製造です。タイ空軍は24機を導入し、1942年から1950年まで本機を運用していました。中国にも直協機バージョンが1機現存しているようですので、本機は世界に2機しか残っていないうちの1機となります。
Ki-55
 ということで、もっと詳しく本機を見ていきましょう!!

99式高練を詳しく見てみる
 さっきの画像は2階からだったので、今度は真横から。機首は角ばったスタイルですが、全体的にすらっとしていて綺麗な設計ですよね。設計に際しては97式司偵を参考にしたとのことですが、なんとなくそんな気もしますね。
 主翼には後退角がついており、良好な下方視界を備えています。たぶんアメリカの傑作練習機T-6(テキサン敵さん)に強い影響を受けているものと思います。
Ki-55_side

 機種をアップで。ちょっと97式司偵の二型っぽくないですか?
プロペラは二翅。ピッチ角は高低の二段可変節で、定回転式ではありません。
Ki-55_nose

 さっきのホークと違ってスピナーを装備しています。先端には始動機と接続するためのねじねじが付いています。
Ki-55_spinner

 ちなみに機首には固定武装として89式固定機関銃が1門装備されています。
Ki-55_nose_muzzle

 キャノピーはこんな感じ。前席、後席の二座式です。練習機なので、どちらからでも操縦できるようになっています。照準器?っぽいものもありますね。
Ki-55_canopy

 後席のレールは妙に長いです。
ところで日本機の表面はべこべこと良く言われますが、練習機レベルでも全然そんなことないことが分かります。
Ki-55_rear_canopy

 左側には乗り込む際の足場も見ることができます。う~ん、格好いい。
Ki-55_left_front

 脚のスパッツは、きれいに整形されています。さっきのホークがやっつけ仕事に見えてきてしまいます。。。
Ki-55_landing_gears

 真正面から見るとこんな風。余計な出っ張りもないし、非常にすっきりとしています。
中央翼には上反角がありませんが、外翼には8度の上反角がつけられています。
Ki-55_front_view

 参考のために、取扱説明書から三面図を拝借してきました。写真だと分かりづらいのですが、外翼には14.3度の後退角が付けられています。図面だとはっきり分かりますね。
Ki-55_manual_three_view

 ちょっと主翼を重点的に見ていきましょう。左翼。これねじり下げがついてますよね。
Ki-55_left_wing

 こちらは右翼。フラップは下げ状態です。
Ki-55_right_wing_front

 右翼を後ろから。エルロンが長いのは日本機共通の特徴です。きっと低速時の運動性能は抜群でしょう。
Ki-55_right_wing_rear

 フラップはスプリット式です。中央翼と外翼で分割されています。
Ki-55_flaps_A

 この角度の方が分かりやすいでしょうか。実はスプリット式フラップで揚力係数が増える理屈がいまいちよく分からないんですよね。主翼の後縁で気流が合流してなくない?と。抗力が増すのは分かるんですが、、、
Ki-55_flaps_B

 ちなみに主翼下面にはタイダウン用の金具が。
Ki-55_under_wing

 オリジナルのままかは分かりませんが、一応取説と同じ位置に付いてます。こんな風に取説と本物を比べてみるのも面白いですよね。
Ki-55_manual_tie_down

 後部胴体です。タイのラウンデルが黄色い機体色によく似合っています。その後ろにあるのは、水平姿勢にするための棒を突っ込む用の穴ですね。
Ki-55_fuselage

 尾翼部分です。方向舵の比率が安定板と比較して大きめですね。
Ki-55-tail

 そして水平尾翼。トリムタブもちゃんとついてます。
Ki-55_hrzntl_tail

 そんな感じで99式高練の見学終了です。本機を見るだけでも、ここに来る価値はありそうです。保存状態も良好なように見えますので、このままタイで大切にされるのが絶対に良いのではないでしょうか。来るのがちょっと大変ですが、タイミングが合えば来たいと思う人は多いと思います。(さて、何回「タイ」といったでしょうか笑)
 これで今回の記事は終了です。次回の記事では屋外の展示機を見ていくことにしましょう!

おまけ
 別展示館の天井にはグライダーが展示されています。特に説明書きがなかったのですが、これって日本のK-14とK-15じゃないでしょうか?
 もし本物だったらかなり貴重だと思うのですが、誰か情報ご存じでないでしょうか?
K-15

K-14

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