WW2航空機の性能:WarbirdPerformanceBlog

第二次大戦中の日本軍航空機を中心に、その性能を探ります。

カテゴリ: 実機紹介

はじめに
 東南アジア博物館シリーズの第二弾は、シンガポール空軍博物館です。この博物館には日本ゆかりの機体こそないものの、貴重な飛行機を見学することができます。
 それでは早速スタートです!!

概要
 この博物館は、パヤレバー空軍基地に隣接して建てられています。開館日時は火曜日から土曜日の9時から16時までとなっており、日曜および月曜は閉館日ですので訪問の計画を立てる際は注意が必要です。

 訪問の際には、公共交通機関であればバスを利用することができます。地下鉄東西線のEunos駅から94番のバスに乗ってAir Force Museumのバス停で降りると博物館は目の前です。なお、バスの運行状況はグーグルマップでも見ることができます。
 バスに乗る際には、日本のスイカやパスモのような地下鉄にも利用できるez-linkカードを購入しておくと便利です。その他にも沢山観光したいという方には、乗り放題のシンガポール・ツーリスト・パスをおすすめします。
 バスに乗る際の注意点として、バス停でただ待っているだけではバスは停まってくれませんので、タクシーを呼ぶように運転手にアピールする必要があります。また、降りる際にはアナウンスも何もありませんので、自分で現在地を降りるバス停を把握して降車ボタンを押す必要があります。慣れるまでは緊張しますね。

展示機紹介
 さてさて、地下鉄とバスを乗り継いで無事博物館に到着することができました。
 この博物館の見どころは、駐車場部分の屋外展示機のほか、建物内側の展示機および建物2階のギャラリーに大きく分けられます。
IMG_9310
 しかしながら、ギャラリー展示よりは実機について皆さん興味があると思いますので、ギャラリー展示については公式のパンフレットを添付してお茶を濁したいと思います。
パンフレット(4.59MB)

 ということで、まずは屋外の展示機から見ていきましょうか。
 この博物館の特徴は、屋外展示機は飛行状態で展示されているということです。たとえば、下の画像の伊アエルマッキ社のSF.260は、脚出し状態ではありますが、まさに飛んでいるよう。
IMG_9325

 こちらも同じく伊アエルマッキのS.211です。少し汚れが目立ちますが、パイロットのマネキンも乗り込んでいます。この機体はシンガポールのほかにはフィリピン空軍やハイチ空軍などでしか運用されておらず、なかなか貴重な飛行機だと言えます。
IMG_9311

 英ホーカー社の「ハンター」に至っては、青空をバックに撮影すれば、あたかも空を自由に飛び回っているようです。ちなみにハンターは屋内にも展示機があるので、近くで見学することもできます。
Hunter_b

 こちらは米ダグラス社の傑作艦上攻撃機「スカイホーク」にシンガポール空軍独自の改修を施したA-4SU「スーパースカイホーク」です。スカイホークは屋内にも2機+機首部分のみ1機が展示されていますので、記事の後半でじっくりと見てみましょう。
A-4SU_outside

 同じくグラマン社による開発の早期警戒機、E-2C「ホークアイ」です。航空自衛隊でも運用されています。
E-2

 ヘリコプターももちろん展示されています。迷彩塗装のベルUH-1とアエロスパシアルAS-350が仲良く並んでいますよ。
AS350_and_UH-1

 外は熱帯の灼熱地獄です。続いて中に入ってみましょう。ちなみに入館は無料ですが、記帳を求められたような記憶があります。

 それでは中に入り、左手から時計回りに展示機を紹介していきます。

 まず一番手前はスカイホークの複座型、TA-4Sの機首部分です。
TA-4S

 その奥には東南アジアではお馴染みのF-5「タイガーII」のシンガポール仕様であるF-5S。
F-5S

 その隣には先ほどのTA-4Sの完全体、、、、ではなく、F404エンジンを搭載して近代化されたTA-4SUです。
TA-4SU

 これは英BAC社が開発した攻撃機「ストライクマスター」です。これもかなりレア機体かと思います。
Strikemaster

 先ほど屋外で展示されていた「ハンター」は、屋内でも見学することができます。
Hunter_a

 いっぽうこちらは世界中の航空博物館にいるであろうジェット練習機T-33「シューティングスター」です。
T-33

 スカイホーク最後の1機は、単座型のA-4Sでした。塗装も迷彩ではなくグレー。でこぼこ二段キャノピーよりもすっきりしています。
A-4S

 お隣はフランス、シュド・アビアシオン社製のヘリコプター、「アルエットIII」です。
Alouette III

 英ブリストル社の地対空ミサイル「ブラッドハウンド」です。大きいですね。こうやって見ると、ミサイルも航空機の一種であると言ってしまっても過言ではないかも。
Bloodhound

 UH-1もどこにでもいますね。軍民問わず大ベストセラーのヘリコプターです。
UH-1

 これでぐるりと一周が完了です。天井からはセスナ172が吊るされていました。
IMG_9260
 このほかにも無人標的機などが展示されていました。

さてさて、ここまで展示機をざっと紹介してきましたが、このまま終わってしまうのも少し味気ないですよね。せっかくなので、シンガポール空軍がかつて100機以上を保有し、この博物館にも多数が展示されているスカイホークをもう少し詳しく見てみることにしませんか。それで今回の記事は終わりといたしましょう。

スカイホークを詳しく見てみる
 A-4スカイホークは核爆弾の搭載を主とした米海軍向けの艦上攻撃機として1950年代に開発された機体で、軽量で安価であることを目標として作られました。
 重量軽減のために艦上機でありながら主翼の折り畳み機構も有していません。また、大きな特徴として、主翼外板を左右一体の一枚構造としています。そのため攻撃機としては珍しい低翼配置となっていますが、降着装置を長くすることによって核爆弾の搭載を可能としています。
 この低翼かつ地上からのクリアランスの大きなランディングギアがスカイホークに他にはないユニークなシルエットを与えています。
 下の写真を見てもらえばスカイホークの脚の長さが伝わるでしょうか。展示されている機体によっては油圧が抜けてこの独特の姿勢が失われてしまっているものもありますが、本機はよく整備されています。
TA-4SU
 正面から見た姿です。すこし暗くて見づらいと思いますが、増槽を装備していても十分な地上とのクリアランスが取れていることに気づいてもらえるかと思います。
IMG_9185
 スカイホークはその軽量安価なこともあってか米国以外にも数多く輸出され、イスラエルやアルゼンチンでの活躍が知られています。
 また、米海軍のアグレッサー機としても用いられ、格闘戦ではF-14トムキャットにも引けを取らなかったといいます。
IMG_9184
 スカイホークに搭載されているエンジンは、A-4A型からC型までがJ65エンジンを、E型以降はJ52エンジンです。なお、上の写真はJ65エンジンです。

 シンガポール空軍は1970年代に中古のA-4Bを大量に購入、独自に改修を施し、A-4S(複座型はTA-4S)として採用しました。

 主な改修事項として、
・新しいアビオニクス収容のため機首を延長
・ハードポイントを3つから5つへ増設
・背部にADFを設置
・操縦席へ装甲板を追加
・ドラッグシュートの装備
・30mmADEN機関砲への換装
などが挙げられます。

 また、80年にはA-4Cを含む追加機を購入し、改修されたA-4CはA-4S-1/TA-4S-1と呼称されました。この機体はオリジナルの20mm機関砲を残すなど、A-4Sとは少し仕様が異なっていました。
 ちなみにスカイホークといえば電子装備を追加するために背中にこぶの付いている機体がよく知られていますが、シンガポールのスカイホークはA-4B/Cを基にしているため、こぶはありません。

 シンガポール仕様のスカイホークの大きな特徴として、複座型のキャノピーが二分割されており、それぞれが独立していることが挙げられます。
 せっかくなので、複座型と単座型を同じアングルで比較してみましょう。独特なキャノピー配置とともに、機首部分が大きく延長されていることが分かるかと思います。
IMG_9162

IMG_9253
 なお、キャノピーの後ろに伸びているのはUHFアンテナです。

IMG_9283
 こんな風に二本ついています。その後ろの、黒いサドルみたいなものがシンガポールのスカイホークの特徴であるADFアンテナです。

 ちなみに機関砲は左右両側に1門ずつの計2門が装備されていますが、弾倉が干渉しないように左右の機関砲はずらして搭載されています。そのため、機体から飛び出ている銃身の長さが左右で異なっています。
IMG_9163

IMG_9243

 エンジンの話に戻りますが、中古のJ65エンジンの老朽化に伴う事故が立て続けに起こったことから、1980年代に入りエンジンの換装の話が持ち上がります。そこでFA-18ホーネットに使用されたF404エンジンからアフターバーナーを除いたものが搭載されることになりました。これがA-4SU「スーパースカイホーク」です。
 エンジン推力自体はやや下がったものの、軽量かつターボファンエンジンとなったことで燃費が向上し、総合的な性能は向上しました。
 J65エンジンとF404エンジン搭載機との簡単な見分け方は、左側エアインテークにある補助空気取入口の有無です。下の画像では、主空気取入口にあるDANGERの注意書きの右下にあるものがそれです。これがあるので、この機体はF404装備のTA-4SUであることが分かります。
IMG_9178

 主翼も見てみましょう。下の画像は、屋外展示機を下から見たものです。ご覧のように、スカイホークの主翼は切り落としデルタ翼となっていますが、翼端は円く整形されています。先述のように主翼外板は左右一体の一枚構造となっています。ハードポイントは合計5つで、主脚は主翼内に完全には収まらず、カバーが主翼からはみ出しています。
 スカイホークは超音速飛行が要求されていなかったため、思い切って重量軽減を優先して空気抵抗の増加を忍んでいる部分がいくつか見られます。主脚カバーや、大きく突き出した空中給油プローブはその好例です。
IMG_9317

 もう一つの例として、下の画像のような翼端に多数設置されたボーテックスジェネレータも挙げられるでしょう。これは敢えて主翼上に渦を発生させて気流の剥離を防ぐものです。スカイホークは試験飛行中にショックストールによるウイングドロップに悩まされましたが、その際でも補助翼の効きを確保するために設置されたとのことです。
IMG_9166

 前縁スラットの様子も見学することができます。見にくいかもしれませんが、境界層フェンスも確認できます。
IMG_9180

 フラップはシンプルにスプリット式を採用しています。こういったところにも重量軽減の考え方が見られるということでしょうか。
IMG_9171

 横から見るとこのような感じです。
IMG_9245

 前脚です。前方向に持ち上がりながら収容されます。この方向であれば、故障時に風圧で脚が下りてくれることでしょう。
IMG_9174

 後ろ脚も故障時であっても風圧で降り、きちんとロックもかかるようになっているそうです。
IMG_9182

 基本的には主翼下に多数かつ大型の武装を装備する攻撃機には高翼配置が好まれるのですが、スカイホークは脚を長くするという発想の転換によってその問題をクリアしました。
 脚が長くなった分の重量増加よりも、低翼配置による重量軽減効果が上回ったということでしょう。
IMG_9248

 エアブレーキは胴体後部のこの位置です。シンガポールに空母はありませんが、アレスティングフックも残されています。
IMG_9246

 斜め後方からアレスティングフックを見てみましょう。このような単純な装置で空母に着艦できるというのだからスゴイですよね。
IMG_9168

 尾部です。方向舵は試験中に発生したバズ対策にタドポール式のものを採用しています。ボーテックスジェネレーターといい、この方向舵といい、スカイホークは根本的な対策というよりはスケジュール優先の対症療法が多めの印象です。
 エンジン排気口の下に小さな排気口のようなものがありますが、ここからドラッグシュートが展開されます。
IMG_9172

 というような感じでスカイホークを詳しく見てみました。個人的にはかなり好きな飛行機だったので、間近で見ることができてうれしかったです。なんというか、ちゃんとした目的を持って、そのために向かって設計された感じが好きなんですよね。

おわりに
 さて、今回の記事はいかがだったでしょうか。シンガポールはビジネスでも観光でも訪れる可能性のある国ですから、時間があったらこの博物館にも寄ってみてはいかがでしょうか。皆様のご感想、コメントや「私も行ったことあるよ~」的なご報告もお待ちしております。
 そうそう、この博物館にはお土産屋さんもあるのですが、なぜだかシンガポール空軍よりも中国空軍のグッズが多めで、結局なにも買わずに出てきてしまいました。。。

 次回の記事は、ベトナム、ホーチミン市内に展示されている軍用機を紹介しようと思っています。相変わらず不定期の更新ですが、引き続きよろしくお願いします。

おまけ
 前回記事の最後に予告したとおり、今回の記事は「おまけ」として紹介したい場所がありましたのでご紹介します。
 それは、空軍博物館の向かいにある、タイ空軍航空公園です。位置関係は下の画像のような感じ。緑色の枠で囲った部分が公園です。ちなみに赤枠が空軍博物館です。
satelite_map_park

 この公園のすごいところは、実機を使ったオブジェがあるというところです。しかも、F-16もあります。
公園2
 オブジェ自体はこんな感じ。F-16のほかには、F-5が2機、そしてF-86の合計4機が空に向かっています。
公園1
 いいですね。格好いい!!

 ちなみに少し離れた場所にはF-86Lも地上展示されています。
F-86L_side_view

F-86L_nose

F-86L_tail

 僕も仲間に入れてほしかったなあ~。なんて思っているかもしれませんね。
公園3

 今回のおまけは以上です。博物館の向かいにあってすぐに行けますので、時間に余裕があればついでに訪問してみてはいかがでしょうか??

はじめに
 タイ王立空軍博物館シリーズも今回で最終回?になりそうです。第5回は、⑥ヘリ格納庫、⑦訓練格納庫、⑧売店・食堂の3か所を見ていきましょう。
 とはいっても、⑥のヘリ格納庫しか写真はありませんが笑

ヘリ格納庫
 ヘリコプターが展示されている格納庫は、下の画像では⑥の赤枠に位置しています。
satelite_map_6

 ここでは、本当にヘリしか展示されていません。私は正直あんまりヘリに興味がないため、知識不足が露呈してしまうかもしれませんが、早速見ていきましょう。

 格納庫内に足を踏み入れると、まずは米ベル社製の傑作多用途ヘリコプターUH-1「ヒューイ」がお出迎えしてくれます。
 おそらく何かのテーマがあっての展示なのだと思いますが、ちょっとわかりませんでした。
UH-1_a

 その裏にも別のUH-1が。こちらはグレーの迷彩仕様となっています。
UH-1_b

 3機目のヒューイはシコルスキーS-55/H-19と並んで展示されています。UH-1は2枚ローターで、そのローター音は心臓に響く独特のものを持っています。ほかのヘリの音は分かりませんが、UH-1だけは聞き分けられる自信があります。
H-19_and_UH-1

 せっかくなので、ベルで続けます。これはB-206「ジェットレンジャー」です。軍用、民間を問わずベストセラーとなったヘリコプターですね。
B-206

 これはベル47をベースに日本の川崎重工業が開発したKH-4です。
KH-4

 奥に見えるのが、その原型となったベル47。手前はヒラーH-23/UH-12「レイブン」です。
H13_and_UH-12

 ベル社シリーズは終了し、こちらはカマンH-43「ハスキー」です。4枚ローターに見えますが、実は2枚ローターがそれぞれ別方向に回転する、交差反転式ローターを採用しています。逆回転するためにトルクを打ち消すことができるので、テールローターが不要となるメリットがあります。が、間違いなく構造は複雑になることでしょう。
HH-43

 こちらはシコルスキーのS-58/H-34です。カバみたいな本機は、機首に星型エンジンを搭載している面白い構造になっています。
H-34

 これもS-58ですが、機首が全然違いますね。本機はS-58Tと言い、エンジンをターボシャフトエンジンに変更したタイプです。
S-58T

 これもシコルスキー社の製品です。S-51/R-5は2機が展示されています。
S-51_a

 救難用途で運用されていたものと思います。2機ありますが、脚の位置などが異なっています。
S-51_b

 以上でヘリ格納庫の紹介は終了です。あんまりヘリコプターの知識がなく、薄っぺらい解説になってしまいましたよね。申し訳ありません。

訓練格納庫
 画像では⑦にあたるこの格納庫ですが、実は私がこの博物館を訪れた際にここに入るのを忘れまして画像が1枚もありません。
satelite_map_7
 他の人の訪問記などを見ると訓練関係のシミュレーターなどが置いてあるとかいないとか。格納庫の入口にはVRがなんとかと書いてあったことは記憶しています。
 もし訪れたことのある方がいましたら、ぜひ情報提供をお願いいたします。

 また、この格納庫に隣接する青い屋根の格納庫にはそもそも入ることができませんでした。

売店・食堂
 下の画像の⑧にあたる建物には、売店と食堂が入っています。売店は航空博物館にありがちなお土産屋さんで、食堂は軽食程度のものや飲み物を購入することができます。私が行ったときには遠足の子供たちが休憩していました。
 この博物館はとっても広いので、一休みしたいときに訪れてみてはいかがでしょうか。
satelite_map_8

まとめ
 というわけで、全5回に分けてタイ王立空軍博物館シリーズをお届けしてきました。本当に広い博物館ですし、展示機の入れ替わりもしばしばあるようですので、タイ旅行の際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
 私自身、入念な下調べのうえ訪問したわけではありませんし、タイ空軍の知識もほとんどありませんので、もし内容に間違いがあった場合はお気軽にお知らせいただけますと幸いです。また、以前に訪問されたことのある方がいらっしゃいましたら補足情報などいただけると嬉しいです。
 これから行きたい!という方、知りたい情報があればぜひご質問ください。そのほか皆さんからのご感想もお待ちしています。

 最後に、実はもう一か所タイで紹介したい場所がありまして、それは「おまけ」として別記事で紹介したいなと思っています。そちらもどうぞお楽しみに!!

はじめに
 タイ王立空軍博物館の第4弾です。4回目の今回は、屋外の展示機を探索していきます。
ちなみにこの博物館には、北側の屋外展示機エリアと、南側の屋外展示機エリアの二つが存在しています。まずは北側から見ていきましょう。

北屋外展示
 それでは早速、北屋外展示を見ていきます。下の画像では、④の赤枠で囲った部分となります。なお、しつこいようですが、このエリア分けは私が勝手にしているものですのでご注意ください。
satelite_map_4

 まずはA-1攻撃機からです。ただし、タイ空軍は本機を運用していなかった気がするので、在タイ米軍か南ベトナム軍の所属機かなと思います。
A-1

 B-737もいますが、明らかにオリジナルではないと思われるエンジンをつけています。
B-737

 これはタイで開発された練習機「RTAF-5」です。推進式のプロペラを装備している珍しい機体ですが、2機が試作されたのみにとどまりました。
RTAF-5

 お次の飛行機は日本のYS-11、、、によく似ていますが、イギリスの「アブロ748」かと思われます。B737とA320よりも似てます。本当に似てます。
HS 748

 その後ろにも何機か飛行機が見えていますが、柵のずっと向こうにあって近づくことができずません。見学させるつもりはないのでしょうね。
others

 これはC-123「プロバイダー」輸送機です。ちなみに後部ハッチが開いており、中にも入れます。
C-123

 これはタイの国産機パリバトラのレプリカと思われます。この後も出てきます。何機か作ったんですねきっと。
Boripatra_a

 続いてイタリア、アエルマッキ社の練習機「SF-260」がここに。
SF.260

 セスナ社製の観測機、O-1/L-19「バードドッグ」は2機が展示されています。
O-1_a

O-1_b

 やや角度をつけた状態で展示されているのは「RTAF-6」練習機です。先のRTAF-5に続いて開発された最新の国産機で、25機の量産が予定されているらしいです。
RTAF-6

 これはF-86D「セイバードッグ」のバリエーションの一種「F-86L」です。
F-86L_outside

 これは既に見てきた攻撃機A-37の元ネタとなった練習機T-37「ツイート」です。
T-37

 この飛行機は、米ヘリオ社の多用途機「クーリエ」ですね。保存状態ははっきり言って悪いです。翼端には穴あいちゃってるし。
Courier

 あんまり見ない機体ですが、英パーシバル社の「プリンス」かと思われます。なんか戦前の爆撃機と飛行艇を合わせたみたいな見た目をしていますね。いちおう初飛行は1948年です。
Prince

 このかわいい練習機はデ・ハビランド・カナダ「DHC-1」です。思うのですが、タイって多種多様な練習機を導入しすぎじゃないでしょうか?一貫性がないというか。政治の香りがします。
DHC-1

 シャークマウスとターボプロップエンジンの映えるかっちょいいこの機体は、スイス、ピラタス社製のPC-6「ポーター」です。日本でも小松基地の博物館で南極隊が使用したものを見学することができますよ。
PC-6

 そんでもってT-33。
T-33

 C-47は水平姿勢で展示されています。この機体は正門脇に展示されていて訪問者をお出迎えする役割があるのだと思うのですが、私が行ったときは正門からは入ることができず、誰も通らないなか、ひとりポツンとたたずんでいました。
C-47
 北側の屋外展示機はこんな感じです。大型の機体や、タイ空軍の中でも位置づけのはっきりしない機体が展示されている印象でした。さて、続いては南側の機体を見ていくことにしましょう。


南屋外展示
 南屋外展示エリアは、下の画像の⑧にあたるエリアです。いちばん端に位置しているので、あれ?ここまで入っても大丈夫だよね?とちょっと心配になるエリアです。
satelite_map_5

 この機体は、自衛隊でも運用された練習機T-28「トロージャン」です。戦後の軍用レシプロ機、て感じがしますね~
T-28

 これは先ほどのF-86Lの先輩に改修元にあたるF-86F「セイバー」です。
F-86F

 そいでもってT-6「テキサン」です。これら3機種は自衛隊でも運用していたので、日本の航空博物館でも見学できますよ。なんと浜松に行けば全部見られます。
T-6

 レスキューと書いてあるこの機体はグラマンG-44「ウィジョン」です。水陸両用の飛行艇で、救難機として使用されていたのでしょう。
G-44

 二次大戦機好きなら興奮間違いなしなのが、このSB2C「ヘルダイバー」です。タイも本機を運用していたんですね。しかしながら、この展示機は羽布がボロボロで保存状態は良くありませんでした。できればファイアフライと一緒に補修してあげてほしいですね。
SB2C

 「フェアチャイルド24」は1930年代に開発された飛行機です。こういう思わぬ飛行機がいるのがこの博物館の特徴です。
Fairchild24

 でかくて全体の写真が上手く撮れなかったのですが、アエリタリア「G.222」かと思われます。
G.222

 このエリアの脇には、またもやパリバトラのレプリカが。
Boripatra_b

 そしてスクラップヤード。ファントレーナーやF-5の残骸がころがっています。
scrap_yard

 そして対空火器でしょうか。飛行機以外のものも展示されているのですが、私にはさっぱりです。写真には撮っていませんがレーダーも展示されていました。
guns

 以上、駆け足でしたが屋外の展示機を見てみました。雨ざらしなだけあって保存状態が良くないものが多かったですね。少しずつでも補修が進んでくれると良いなと思います。
 もし補足情報や小ネタなどありましたら是非コメントもお願いいたします!

 次回の記事で、タイ王立空軍博物館は終了の予定です。よろしければ次の記事もよろしくお願いします。

はじめに
 タイ王立空軍博物館の続きの続きです。第三回は、下の画像の赤枠で囲った部分、ここでは暫定的にアーケード部分と名付けたエリアを探索してみますよ。
※なお、何度も申し上げますがこの分類は私が勝手にしているものです。ご注意ください。
satelite_map_3

アーケード探索
 ここでは、雨ざらしにしておくには忍びないが、屋内に展示するほどでもないと判断された飛行機たちが置いてあるような印象です。
 下の画像から、アーケード全体の雰囲気を感じてもらえるかと思います。それでは、ここに展示されているすべての機体を見ていきましょう!
overview

 手始めに、東側に展示されている機体から見ていきます。上の画像では左側に位置する機体たちですね。

 まず一番手前にいるのは、ピラタス社製の練習機「PC-9」です。タイ空軍はスイス製の本機を1991年から計20機導入しています。
PC-9

 続いて、ドイツRFB製の練習機「ファントレーナー」です。ダクテッドファン方式を採用しているたいへん珍しい飛行機ですが、このタイプの機体がほとんど見られないことから、既存機を置き換えるほどのメリットはなかったようです。タイ空軍でも1987年から95年までの8年間しか運用していませんでした。
FT-600_a
ちなみに2機が展示されており、それぞれカラーリングが異なります。
FT-600_b

 次も練習機ですが、これはニュージーランドのAESL社が開発したCT-4「エアトレーナー」です。ニュージーランドにそんな会社があったんですね。ちなみに現在は経営統合の結果、「パシフィックエアロスペース」という会社名になっているそうです。
CT-4A_a

 次もまた練習機です。これはセスナ172の軍用型、T-41ですね。
T-41_a

 で、その隣には再度CT-4です。
CT-4A_b


 練習機ゾーンはいったん抜けて、COIN機OV-10「ブロンコ」です。本機は反共作戦や国境紛争に投入されたとのこと。なお、今でもタイ南部では民族紛争が続いており「微笑みの国」の違った一面を見ることができます。
OV-10C
 余談ですが、私はハンバーグ店だとブロンコビリーが好きです。(あんまり言うと出身地がばれそうですが笑)

 その隣は、世界中の博物館にいる傑作練習機T-6「テキサン」です。
T-6

 そしてその隣には英スーパーマリン「スピットファイアMk.14」が。本機は偵察タイプのFR Mk.14Eです。マーリンエンジンよりも大きなグリフォンエンジンを搭載しているので、排気管の上部が盛り上がっているのが見て取れるかと思います。よろしければ過去記事「シルバー・スピットファイアを見に行ってきた!」と比較してみてください。
Spitfire Mk.14

 その脇には、同じくイギリス出身のフェアリー「ファイアフライ」が。しかし、残念なことにプロペラの一枚が破損しており、保存状態は決して良いとは言えません。なかなかここまで予算が回ってこないのでしょうか。
 日本やアメリカとは異なって性能的にぱっとしない、いかにもイギリスの艦上機という感じがして私はファイアフライとかフルマーとか好きですよ。
Firefly

 イギリスゾーンが続きます。お次は、ずっと本物を見てみたいと思っていた機体「ハリアー」です。本機は世界初の実用VTOL機で、タイ海軍も本機を導入し軽空母「チャクリ・ナルエベト」上で運用していました。
Harrier

 イギリスゾーンはこれにて終了。次は米LTV社製の艦上攻撃機「コルセアII」です。こちらもタイ海軍が運用していました。空軍博物館ですが、海軍所属機もまとめて展示してくれて助かります。
A-7
 さあこれで突き当りまで来ました。続いて折り返し西側の機体を見ていきましょう。

 これはおそらくT-33「シューティングスター」と思われますが、迷彩塗装だけで特にその他の情報はありませんでした。
T-33

 これはセスナA-37「ドラゴンフライ」です。もとは初等練習機だったものを攻撃機に改修した飛行機で、その名残で並列複座式となっていることが特徴です。
A-37_b

 なぞのモニュメント。たぶんC-47の尾翼部分と思われますが、タイ語に不案内なためなんと書いてあるかはさっぱりです。
probably_C-47

 そのお隣にはなんとびっくり、MiG-21がF-5と並んでいるではありませんか。なぜタイにミグが?と思いましたが、特に説明は見つけられず。
 両機は冷戦中にそれぞれ東西陣営に広く用いられた戦闘機で、まさにライバルと言って良い存在でしょう。しかしながら、隣り合った両機を見てもらえばその設計思想が大きく異なっていることに気づいてもらえることと思います。
F-5_and_Mig-21

 そしてその隣には再びのF-5E。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもF-5は出ずっぱりです笑
F-5E

 そしてその隣には再びのA-37。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもA-37は出ずっぱりです笑
A-37_a

 あれ?君もさっき見たよね?そうです、T-41はこちら側にも居ます。
T-41_b

 これ見てください!東側の超有名ジェット練習機L-39「アルバトロス」ですよ!本機がいるとは知らなかったので、見つけたときは大興奮でした。どうやら完全に退役したのは2021年とのことで、展示されたのはここ1、2年のことなのでしょうか。
L-39

 しかも、もっとびっくりしたのは「アルファジェット」がいるじゃん!ということ。タイ空軍現役バリバリの機体だった気がするのですが、なぜこんなところにいるのでしょうか?もしかしたら99式高練を見たとき以上に興奮していたかもしれません。
Alpha Jet
 東西両陣営の傑作ジェット高等練習機を見ることができ、思わぬ収穫でした。当然T-4は見たことあるので、次の目標は「ホーク」です!!


 さて、簡単ですがアーケードエリアの機体紹介は以上です。ネット上の情報には古いものもあるので、この博物館の展示機は訪れるたびに変化があって面白いかもしれませんね。

 次回の記事では、屋外の展示機を見ていこうと思います。まだまだタイ王立空軍博物館シリーズは続きそうですので、どうぞお付き合いください。

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