前回『紫電の性能について』記事内にて、米軍鹵獲文書で紫電は「高度6000mにて325kt(602km/h)を発揮する」との記述があると紹介しましたが、それを補足する資料を新たに見つけたので報告します。
これはとある航空機搭乗員候補生の航空術の授業のノートの記述なのですが、日付はおそらく1944年11月、「新鋭機ニツイテ」という項目の中で、紫電の性能は
一速 305kt(565km/h) max
二速 325kt(602km/h) max
となっていました。
このデータの信ぴょう性についてですが、決して低くはないと考えています。なぜなら、他の機体の最高速度について、零戦52型は300~305kt(556~565km/h)、雷電は320kt(593km/h)、紫電改は一速310kt(574km/h)、二速329kt(609km/h)となっているからです。
これらの数値は今まで本ブログ内で紹介してきた数値とかなり一致するものです。但し、上昇力については紫電も紫電改も6000mまで5分40秒と書かれているなど、検証を要する部分も残されています。
この授業があったとされる1944年11月という日付を信じるならば、紫電の初飛行からはほぼ2年が、紫電改については約1年が経過しており、とりわけ紫電は制式採用され実戦も経験しているはずです。そのような時期に紫電の最高速度は602km/hと認識されていたことは注目に値すると考えます。
願わくばその速度を発揮する高度が分かれば搭載発動機を推測することができたのに、と思ってしまいます。また、機体のコンディションも気になるところです。
最後に、米軍の太平洋艦隊が発行した諜報誌「Weekly Intelligence Bulletin」の1944年7月21日号のとある1文を紹介して終わりたいと思います。(全文は国会図書館デジタルライブラリーで見ることができます。)
ここでも、紫電の最高速度は鹵獲したノートによると325ktであると書いてあります。なんとかこの原文を見つけてみたいものです。
今回は短いですが以上となります。最後までお読み頂きありがとうございました。
ABSTRACT IN ENGLISH
I found a description that says N1K1-J's maximum speed is 305kt at 1st speed supercharger alt. and 325kt at 2nd in a notebook dated November 1944 which had belonged to a navy airman student.
This description is reliable, I think, because there are also other navy fighters top speed data in the notebook and they are very close to what we are familiar with.
Also, I attached an image of "Weekly Intelligence Bulletin" by U.S. Pacific Fleet dated 21 July 1944, which says "a captured notebook credits Shiden with a top speed of 325 knots".
I wish I can see the notebook itself too.
これはとある航空機搭乗員候補生の航空術の授業のノートの記述なのですが、日付はおそらく1944年11月、「新鋭機ニツイテ」という項目の中で、紫電の性能は
一速 305kt(565km/h) max
二速 325kt(602km/h) max
となっていました。
このデータの信ぴょう性についてですが、決して低くはないと考えています。なぜなら、他の機体の最高速度について、零戦52型は300~305kt(556~565km/h)、雷電は320kt(593km/h)、紫電改は一速310kt(574km/h)、二速329kt(609km/h)となっているからです。
これらの数値は今まで本ブログ内で紹介してきた数値とかなり一致するものです。但し、上昇力については紫電も紫電改も6000mまで5分40秒と書かれているなど、検証を要する部分も残されています。
この授業があったとされる1944年11月という日付を信じるならば、紫電の初飛行からはほぼ2年が、紫電改については約1年が経過しており、とりわけ紫電は制式採用され実戦も経験しているはずです。そのような時期に紫電の最高速度は602km/hと認識されていたことは注目に値すると考えます。
願わくばその速度を発揮する高度が分かれば搭載発動機を推測することができたのに、と思ってしまいます。また、機体のコンディションも気になるところです。
最後に、米軍の太平洋艦隊が発行した諜報誌「Weekly Intelligence Bulletin」の1944年7月21日号のとある1文を紹介して終わりたいと思います。(全文は国会図書館デジタルライブラリーで見ることができます。)
ここでも、紫電の最高速度は鹵獲したノートによると325ktであると書いてあります。なんとかこの原文を見つけてみたいものです。
今回は短いですが以上となります。最後までお読み頂きありがとうございました。
ABSTRACT IN ENGLISH
I found a description that says N1K1-J's maximum speed is 305kt at 1st speed supercharger alt. and 325kt at 2nd in a notebook dated November 1944 which had belonged to a navy airman student.
This description is reliable, I think, because there are also other navy fighters top speed data in the notebook and they are very close to what we are familiar with.
Also, I attached an image of "Weekly Intelligence Bulletin" by U.S. Pacific Fleet dated 21 July 1944, which says "a captured notebook credits Shiden with a top speed of 325 knots".
I wish I can see the notebook itself too.

コメント
コメント一覧 (2)
他の記事も含めて、本当に納得する内容です。すばらしい。
紫電11型の最高速度ですが、今回ご教示頂いた602km/hのほか、<考察⑧>で触れておられる593km/hは、紫電21型のよく知られている数字594km/hと非常に近く思います。
そのため、紫電系の戦闘機の開発レポート等で、ゼロ戦・雷電でご指摘されている数値の流用が行われていたのでは?と勘ぐりたくなります。(実は、ずっとそう思っていました)
今でこそ、紫電11型と21型は胴体の再設計を含む大改造型ということが常識ですが、戦時下にあって、ゼロ戦21型と32型よりも変更度合いが小さいくらいに捉えられていたのかもしれません。
日本機の最高速度の数値を追っていて、気になることがあります。
特に誉搭載機で顕著ですが、一部機種の最高速度が、運転制限解除時に予想される1625HP(6100m)と制限時の1440HPの割り算の3乗根になっているように思われるのです。(例えば、彩雲は計画値635km/hで量産型609km/hという数値をよく見ますが、この値は↑の
関係性にミートします。紫電改試作型の620km/hと644km/hという丸メカ平成20年1月号別冊で出てくる数値なども、上記の関係性をほぼ満たしています。)
この辺は案外、自動車の最高速度粗計算と類似したコンセプトで、ざっと計算した値を公式文書に残していた可能性があるのではと勘ぐっています。
結果的に、Blog主さまが2019年9月7日の記事で記載されているように紫電改一つをとっても複数の最高速度が存在し、しかも、どの速度が実現できたのかもいまいち把握しづらい状況が続いています。
Blog主さまの頑張りで、上記のような日本機の最高速度を巡る混乱が解消し、また、日本機が本来備えていた優れた素質が明らかになることが、日本機に思いを寄せるうえで重要なことと認識しています。
今後とも楽しみにしております。
warbirdperforma
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しました