はじめに
タイ王立空軍博物館の続きです。第二回は、別展示館を探索してみますよ。下の地図では②にあたる建物です。
※なお、この分類は私が勝手にしているものですからご注意ください。
メイン展示館とは屋根で繋がっており、雨に濡れずに行き来することができます。室内は、下の画像のような感じです。写真に撮ってはいませんが、この他に制服や勲章などを展示している部屋もありましたよ。
それでは早速、どんな飛行機がいるのか見てみましょう!
展示機紹介
こちらはイギリス、デハビランド社の傑作練習機「タイガーモス」です。王立タイ海軍は1950年に30機を初等練習機として導入したのだそうです。
これはフランス、ブレゲー社のブレゲー14の3/4サイズのレプリカです。1919年に導入されたとのことで、タイ空軍の歴史の古さが感じられます。
お次のこちらはレプリカではなく実機です。この米ボーイング社製のボーイング・モデル100Eは米陸軍P-12Eの輸出型です。複葉戦闘機で、もとは艦上戦闘機F4Bとして開発された機体です。
タイ空軍は1931年に本機を2機輸入し、英ブルドッグや独HD43との比較評価を行ったとのことです。なお、この機体はタイに現存する最も古い飛行機だそう。
これは米パイパーの名機「カブ」の軍用型、L-4Jです。
そんでもってこちらは米スティンソン社のL-5「センチネル」ですね。
そしてそして、今回の記事の目玉機体のひとつ、米カーチス社の戦闘機H-75「ホーク」、、、の輸出用の固定脚タイプ「H-75N」です!
本機は本国よりも輸出先での活躍の方が有名ですよね。フランス、フィンランド、中国などなど。
せっかくなので、少し近くで見てみましょう。機首部分はこんな感じです。プロペラはカーチス社製の電気式定回転プロペラのはずです。
本来であれば引き込み脚機構を備えた機体なのですが、中国やタイへの輸出モデルは固定脚を装備していました。脚は一応カバーで整形はされているようです。
武装は機首に2門の機銃があるはずなのですが、なんか機銃口が塞がれているような?そのほかタイプによっては翼内にも機銃が装備されているようなのですが、本機は翼下にガンパックが装備されています。が、ちょっと詳細不明です。
足のカバーも機銃カバーもなんか結構適当ですね。輸出型だからなのか、タイに来て取り付けられたのかは分かりませんが。もしなにかご存じでしたら教えてください。
翼下には爆弾も取り付けられていました。重武装、固定脚で爆装もできるので、結構使い勝手は良さそうな飛行機ですね。
タイ空軍は1937年に12機のホークを購入。仏印紛争でフランスを相手にし、日本のタイ進駐では日本軍に抵抗し、二次大戦では日本と共に連合国軍と戦いました。まさに歴戦の勇士といったところでしょうか。
名残惜しいですが、ホークはここまでにして先に進みます。
ここにはなぜか一機だけ、ジェット戦闘機も展示されていました。いっぱい余っているのか、ここにもF-5Eです。ただし本機は後期生産型の「タイガーシャーク」です。
正面から見ると、こんな感じです。なんだかステルス機っぽく見えますね。
ところで隣にあるこれはなんですかね??はじめて見ました。
まあそれは置いておいて、ついに前回の記事で予告していた日本製航空機に移りましょう。日本にも残っていない、99式高等練習機です!
本機は98式直接協同機の練習機バージョンで、立川飛行機の開発、製造です。タイ空軍は24機を導入し、1942年から1950年まで本機を運用していました。中国にも直協機バージョンが1機現存しているようですので、本機は世界に2機しか残っていないうちの1機となります。
ということで、もっと詳しく本機を見ていきましょう!!
99式高練を詳しく見てみる
さっきの画像は2階からだったので、今度は真横から。機首は角ばったスタイルですが、全体的にすらっとしていて綺麗な設計ですよね。設計に際しては97式司偵を参考にしたとのことですが、なんとなくそんな気もしますね。
主翼には後退角がついており、良好な下方視界を備えています。たぶんアメリカの傑作練習機T-6(テキサン敵さん)に強い影響を受けているものと思います。
機種をアップで。ちょっと97式司偵の二型っぽくないですか?
プロペラは二翅。ピッチ角は高低の二段可変節で、定回転式ではありません。
さっきのホークと違ってスピナーを装備しています。先端には始動機と接続するためのねじねじが付いています。
ちなみに機首には固定武装として89式固定機関銃が1門装備されています。
キャノピーはこんな感じ。前席、後席の二座式です。練習機なので、どちらからでも操縦できるようになっています。照準器?っぽいものもありますね。
後席のレールは妙に長いです。
ところで日本機の表面はべこべこと良く言われますが、練習機レベルでも全然そんなことないことが分かります。
左側には乗り込む際の足場も見ることができます。う~ん、格好いい。
脚のスパッツは、きれいに整形されています。さっきのホークがやっつけ仕事に見えてきてしまいます。。。
真正面から見るとこんな風。余計な出っ張りもないし、非常にすっきりとしています。
中央翼には上反角がありませんが、外翼には8度の上反角がつけられています。
参考のために、取扱説明書から三面図を拝借してきました。写真だと分かりづらいのですが、外翼には14.3度の後退角が付けられています。図面だとはっきり分かりますね。
ちょっと主翼を重点的に見ていきましょう。左翼。これねじり下げがついてますよね。
こちらは右翼。フラップは下げ状態です。
右翼を後ろから。エルロンが長いのは日本機共通の特徴です。きっと低速時の運動性能は抜群でしょう。
フラップはスプリット式です。中央翼と外翼で分割されています。
この角度の方が分かりやすいでしょうか。実はスプリット式フラップで揚力係数が増える理屈がいまいちよく分からないんですよね。主翼の後縁で気流が合流してなくない?と。抗力が増すのは分かるんですが、、、
ちなみに主翼下面にはタイダウン用の金具が。
オリジナルのままかは分かりませんが、一応取説と同じ位置に付いてます。こんな風に取説と本物を比べてみるのも面白いですよね。
後部胴体です。タイのラウンデルが黄色い機体色によく似合っています。その後ろにあるのは、水平姿勢にするための棒を突っ込む用の穴ですね。
尾翼部分です。方向舵の比率が安定板と比較して大きめですね。
そして水平尾翼。トリムタブもちゃんとついてます。
そんな感じで99式高練の見学終了です。本機を見るだけでも、ここに来る価値はありそうです。保存状態も良好なように見えますので、このままタイで大切にされるのが絶対に良いのではないでしょうか。来るのがちょっと大変ですが、タイミングが合えば来たいと思う人は多いと思います。(さて、何回「タイ」といったでしょうか笑)
これで今回の記事は終了です。次回の記事では屋外の展示機を見ていくことにしましょう!
おまけ
別展示館の天井にはグライダーが展示されています。特に説明書きがなかったのですが、これって日本のK-14とK-15じゃないでしょうか?
もし本物だったらかなり貴重だと思うのですが、誰か情報ご存じでないでしょうか?
タイ王立空軍博物館の続きです。第二回は、別展示館を探索してみますよ。下の地図では②にあたる建物です。
※なお、この分類は私が勝手にしているものですからご注意ください。
メイン展示館とは屋根で繋がっており、雨に濡れずに行き来することができます。室内は、下の画像のような感じです。写真に撮ってはいませんが、この他に制服や勲章などを展示している部屋もありましたよ。
それでは早速、どんな飛行機がいるのか見てみましょう!
展示機紹介
こちらはイギリス、デハビランド社の傑作練習機「タイガーモス」です。王立タイ海軍は1950年に30機を初等練習機として導入したのだそうです。
これはフランス、ブレゲー社のブレゲー14の3/4サイズのレプリカです。1919年に導入されたとのことで、タイ空軍の歴史の古さが感じられます。
お次のこちらはレプリカではなく実機です。この米ボーイング社製のボーイング・モデル100Eは米陸軍P-12Eの輸出型です。複葉戦闘機で、もとは艦上戦闘機F4Bとして開発された機体です。
タイ空軍は1931年に本機を2機輸入し、英ブルドッグや独HD43との比較評価を行ったとのことです。なお、この機体はタイに現存する最も古い飛行機だそう。
これは米パイパーの名機「カブ」の軍用型、L-4Jです。
そんでもってこちらは米スティンソン社のL-5「センチネル」ですね。
そしてそして、今回の記事の目玉機体のひとつ、米カーチス社の戦闘機H-75「ホーク」、、、の輸出用の固定脚タイプ「H-75N」です!
本機は本国よりも輸出先での活躍の方が有名ですよね。フランス、フィンランド、中国などなど。
せっかくなので、少し近くで見てみましょう。機首部分はこんな感じです。プロペラはカーチス社製の電気式定回転プロペラのはずです。
本来であれば引き込み脚機構を備えた機体なのですが、中国やタイへの輸出モデルは固定脚を装備していました。脚は一応カバーで整形はされているようです。
武装は機首に2門の機銃があるはずなのですが、なんか機銃口が塞がれているような?そのほかタイプによっては翼内にも機銃が装備されているようなのですが、本機は翼下にガンパックが装備されています。が、ちょっと詳細不明です。
足のカバーも機銃カバーもなんか結構適当ですね。輸出型だからなのか、タイに来て取り付けられたのかは分かりませんが。もしなにかご存じでしたら教えてください。
翼下には爆弾も取り付けられていました。重武装、固定脚で爆装もできるので、結構使い勝手は良さそうな飛行機ですね。
タイ空軍は1937年に12機のホークを購入。仏印紛争でフランスを相手にし、日本のタイ進駐では日本軍に抵抗し、二次大戦では日本と共に連合国軍と戦いました。まさに歴戦の勇士といったところでしょうか。
名残惜しいですが、ホークはここまでにして先に進みます。
ここにはなぜか一機だけ、ジェット戦闘機も展示されていました。いっぱい余っているのか、ここにもF-5Eです。ただし本機は後期生産型の「タイガーシャーク」です。
正面から見ると、こんな感じです。なんだかステルス機っぽく見えますね。
ところで隣にあるこれはなんですかね??はじめて見ました。
まあそれは置いておいて、ついに前回の記事で予告していた日本製航空機に移りましょう。日本にも残っていない、99式高等練習機です!
本機は98式直接協同機の練習機バージョンで、立川飛行機の開発、製造です。タイ空軍は24機を導入し、1942年から1950年まで本機を運用していました。中国にも直協機バージョンが1機現存しているようですので、本機は世界に2機しか残っていないうちの1機となります。
ということで、もっと詳しく本機を見ていきましょう!!
99式高練を詳しく見てみる
さっきの画像は2階からだったので、今度は真横から。機首は角ばったスタイルですが、全体的にすらっとしていて綺麗な設計ですよね。設計に際しては97式司偵を参考にしたとのことですが、なんとなくそんな気もしますね。
主翼には後退角がついており、良好な下方視界を備えています。たぶんアメリカの傑作練習機T-6(テキサン
機種をアップで。ちょっと97式司偵の二型っぽくないですか?
プロペラは二翅。ピッチ角は高低の二段可変節で、定回転式ではありません。
さっきのホークと違ってスピナーを装備しています。先端には始動機と接続するためのねじねじが付いています。
ちなみに機首には固定武装として89式固定機関銃が1門装備されています。
キャノピーはこんな感じ。前席、後席の二座式です。練習機なので、どちらからでも操縦できるようになっています。照準器?っぽいものもありますね。
後席のレールは妙に長いです。
ところで日本機の表面はべこべこと良く言われますが、練習機レベルでも全然そんなことないことが分かります。
左側には乗り込む際の足場も見ることができます。う~ん、格好いい。
脚のスパッツは、きれいに整形されています。さっきのホークがやっつけ仕事に見えてきてしまいます。。。
真正面から見るとこんな風。余計な出っ張りもないし、非常にすっきりとしています。
中央翼には上反角がありませんが、外翼には8度の上反角がつけられています。
参考のために、取扱説明書から三面図を拝借してきました。写真だと分かりづらいのですが、外翼には14.3度の後退角が付けられています。図面だとはっきり分かりますね。
ちょっと主翼を重点的に見ていきましょう。左翼。これねじり下げがついてますよね。
こちらは右翼。フラップは下げ状態です。
右翼を後ろから。エルロンが長いのは日本機共通の特徴です。きっと低速時の運動性能は抜群でしょう。
フラップはスプリット式です。中央翼と外翼で分割されています。
この角度の方が分かりやすいでしょうか。実はスプリット式フラップで揚力係数が増える理屈がいまいちよく分からないんですよね。主翼の後縁で気流が合流してなくない?と。抗力が増すのは分かるんですが、、、
ちなみに主翼下面にはタイダウン用の金具が。
オリジナルのままかは分かりませんが、一応取説と同じ位置に付いてます。こんな風に取説と本物を比べてみるのも面白いですよね。
後部胴体です。タイのラウンデルが黄色い機体色によく似合っています。その後ろにあるのは、水平姿勢にするための棒を突っ込む用の穴ですね。
尾翼部分です。方向舵の比率が安定板と比較して大きめですね。
そして水平尾翼。トリムタブもちゃんとついてます。
そんな感じで99式高練の見学終了です。本機を見るだけでも、ここに来る価値はありそうです。保存状態も良好なように見えますので、このままタイで大切にされるのが絶対に良いのではないでしょうか。来るのがちょっと大変ですが、タイミングが合えば来たいと思う人は多いと思います。(さて、何回「タイ」といったでしょうか笑)
これで今回の記事は終了です。次回の記事では屋外の展示機を見ていくことにしましょう!
おまけ
別展示館の天井にはグライダーが展示されています。特に説明書きがなかったのですが、これって日本のK-14とK-15じゃないでしょうか?
もし本物だったらかなり貴重だと思うのですが、誰か情報ご存じでないでしょうか?
コメント
コメント一覧 (2)
warbirdperforma
nce
が
しました