はじめに
 タイ王立空軍博物館の続きの続きです。第三回は、下の画像の赤枠で囲った部分、ここでは暫定的にアーケード部分と名付けたエリアを探索してみますよ。
※なお、何度も申し上げますがこの分類は私が勝手にしているものです。ご注意ください。
satelite_map_3

アーケード探索
 ここでは、雨ざらしにしておくには忍びないが、屋内に展示するほどでもないと判断された飛行機たちが置いてあるような印象です。
 下の画像から、アーケード全体の雰囲気を感じてもらえるかと思います。それでは、ここに展示されているすべての機体を見ていきましょう!
overview

 手始めに、東側に展示されている機体から見ていきます。上の画像では左側に位置する機体たちですね。

 まず一番手前にいるのは、ピラタス社製の練習機「PC-9」です。タイ空軍はスイス製の本機を1991年から計20機導入しています。
PC-9

 続いて、ドイツRFB製の練習機「ファントレーナー」です。ダクテッドファン方式を採用しているたいへん珍しい飛行機ですが、このタイプの機体がほとんど見られないことから、既存機を置き換えるほどのメリットはなかったようです。タイ空軍でも1987年から95年までの8年間しか運用していませんでした。
FT-600_a
ちなみに2機が展示されており、それぞれカラーリングが異なります。
FT-600_b

 次も練習機ですが、これはニュージーランドのAESL社が開発したCT-4「エアトレーナー」です。ニュージーランドにそんな会社があったんですね。ちなみに現在は経営統合の結果、「パシフィックエアロスペース」という会社名になっているそうです。
CT-4A_a

 次もまた練習機です。これはセスナ172の軍用型、T-41ですね。
T-41_a

 で、その隣には再度CT-4です。
CT-4A_b


 練習機ゾーンはいったん抜けて、COIN機OV-10「ブロンコ」です。本機は反共作戦や国境紛争に投入されたとのこと。なお、今でもタイ南部では民族紛争が続いており「微笑みの国」の違った一面を見ることができます。
OV-10C
 余談ですが、私はハンバーグ店だとブロンコビリーが好きです。(あんまり言うと出身地がばれそうですが笑)

 その隣は、世界中の博物館にいる傑作練習機T-6「テキサン」です。
T-6

 そしてその隣には英スーパーマリン「スピットファイアMk.14」が。本機は偵察タイプのFR Mk.14Eです。マーリンエンジンよりも大きなグリフォンエンジンを搭載しているので、排気管の上部が盛り上がっているのが見て取れるかと思います。よろしければ過去記事「シルバー・スピットファイアを見に行ってきた!」と比較してみてください。
Spitfire Mk.14

 その脇には、同じくイギリス出身のフェアリー「ファイアフライ」が。しかし、残念なことにプロペラの一枚が破損しており、保存状態は決して良いとは言えません。なかなかここまで予算が回ってこないのでしょうか。
 日本やアメリカとは異なって性能的にぱっとしない、いかにもイギリスの艦上機という感じがして私はファイアフライとかフルマーとか好きですよ。
Firefly

 イギリスゾーンが続きます。お次は、ずっと本物を見てみたいと思っていた機体「ハリアー」です。本機は世界初の実用VTOL機で、タイ海軍も本機を導入し軽空母「チャクリ・ナルエベト」上で運用していました。
Harrier

 イギリスゾーンはこれにて終了。次は米LTV社製の艦上攻撃機「コルセアII」です。こちらもタイ海軍が運用していました。空軍博物館ですが、海軍所属機もまとめて展示してくれて助かります。
A-7
 さあこれで突き当りまで来ました。続いて折り返し西側の機体を見ていきましょう。

 これはおそらくT-33「シューティングスター」と思われますが、迷彩塗装だけで特にその他の情報はありませんでした。
T-33

 これはセスナA-37「ドラゴンフライ」です。もとは初等練習機だったものを攻撃機に改修した飛行機で、その名残で並列複座式となっていることが特徴です。
A-37_b

 なぞのモニュメント。たぶんC-47の尾翼部分と思われますが、タイ語に不案内なためなんと書いてあるかはさっぱりです。
probably_C-47

 そのお隣にはなんとびっくり、MiG-21がF-5と並んでいるではありませんか。なぜタイにミグが?と思いましたが、特に説明は見つけられず。
 両機は冷戦中にそれぞれ東西陣営に広く用いられた戦闘機で、まさにライバルと言って良い存在でしょう。しかしながら、隣り合った両機を見てもらえばその設計思想が大きく異なっていることに気づいてもらえることと思います。
F-5_and_Mig-21

 そしてその隣には再びのF-5E。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもF-5は出ずっぱりです笑
F-5E

 そしてその隣には再びのA-37。本当に何機も展示されています。それだけ広く使われたということですね。ちなみにベトナム訪問の記事もこの後たぶん書くと思いますが、そこでもA-37は出ずっぱりです笑
A-37_a

 あれ?君もさっき見たよね?そうです、T-41はこちら側にも居ます。
T-41_b

 これ見てください!東側の超有名ジェット練習機L-39「アルバトロス」ですよ!本機がいるとは知らなかったので、見つけたときは大興奮でした。どうやら完全に退役したのは2021年とのことで、展示されたのはここ1、2年のことなのでしょうか。
L-39

 しかも、もっとびっくりしたのは「アルファジェット」がいるじゃん!ということ。タイ空軍現役バリバリの機体だった気がするのですが、なぜこんなところにいるのでしょうか?もしかしたら99式高練を見たとき以上に興奮していたかもしれません。
Alpha Jet
 東西両陣営の傑作ジェット高等練習機を見ることができ、思わぬ収穫でした。当然T-4は見たことあるので、次の目標は「ホーク」です!!


 さて、簡単ですがアーケードエリアの機体紹介は以上です。ネット上の情報には古いものもあるので、この博物館の展示機は訪れるたびに変化があって面白いかもしれませんね。

 次回の記事では、屋外の展示機を見ていこうと思います。まだまだタイ王立空軍博物館シリーズは続きそうですので、どうぞお付き合いください。